FOREX CHART ANALYSIS BY USING FOURIER TRANSFORM

2016/03/29

Posted on 3/29/2016 by Ryoun Kasai in , ,


値頃感 ―― FXを始めた頃、そんな言葉も知らなかったが、まさに私は値頃感で売買していた。NZドルを75円で買って78円で売るといった具合に、である。

当時の地合いでは、それでも利益が上がっていたのだが、不安はぬぐい切れない。こんな売買を続けていれば、いつか大損するのは間違いない。しかし、右も左もわからない状態の中で、値頃感以外の何を頼れというのか?

知識だけは仕入れようと、書店で一冊の本を手に取ってみた。『チャート分析の真実』(トランスワールドジャパン) の旧版あたりだとは思うが、まあ、いまとなっては、はっきり書名を覚えていない。ともかくも、ページを開く。

そこには、グランビルの法則なるものが解説されていた。法則!? そうだ、値頃感なんて曖昧なものではなく、法則を頼ればいいじゃないか!! どうやら、移動平均を使った売買の理論的根拠になっているらしい。具体的には次のようなものである。

① 下降から水平、または上昇へ転じた移動平均線を価格が上抜いたら買い。
② 上昇中の移動平均線を価格が下抜いたのち、反発したら買い。
③ 上昇中の移動平均線に接することなく、価格が反発したら買い。
④ 下降へ転じた移動平均線より、価格が大きく下方へ乖離したら買い。

売りの方も同様に4つ、都合8つの法則である。数あるテクニカル分析の中で、"法則" と名のつくものは多くない。私の知る限り、このグランビルの法則が唯一の例である。

英語では、法規も法則も "law" という。一方、日本語で "法則" と聞けば、誰もが自然法則を思い浮かべるに違いない。つまりグランビルの法則は、テクニカル分析の中でほとんど唯一、科学的妥当性をもつものとして浸透していったのである。

少なくとも、日本語圏においては。

FXを始めて、7~8年ほどたった頃だろう。ふと奇妙なことに気づいた。知識が増えれば、ジョージ・ソロスやジム・ロジャーズといった投資家たちの人物像もわかりかけてくる。しかし、グランビルなる人物の正体だけは、さっぱりわからない。

そもそも投資家なのか? 統計学者なのか、経済学者なのか、何ひとつとしてわからない。あれほど有名な、しかも、ほとんど唯一の "法則" の発見者なのに!

試みにGoogleで "グランビルの法則" を検索すると、件数は38,400件と出る。すべて日本語サイトだろうが、人物像はつかめそうにない。一方、英語サイトを "Granville's law" で検索すると36件、"Granville's rule" で検索すると19件だった。

日本の投資家ブロガーの数が多すぎるのかというと、そうでもなさそうだ。"エリオット波動" を検索すると166,000件、 "Elliott wave" を検索すると490,000件なのである。そして "ジョセフ・グランビル" は554件、"Joseph Granville" は19,400件。

ここから推察できることは、次の3点である。 日本語圏では、正体不明な人物の唱える説が珍重されていること。英語圏では、その説が科学的妥当性をもつ法則として扱われていないこと。人物像を知るには英語圏の資料にあたること、である。