「雲」なんてものは抜けるときは抜けるし、抜けないときは抜けない。抜けるか抜けないかを判断するために必要なのは、時間論他の三大骨子である。それを除外して考えるのであれば、「雲」は抜けたり抜けなかったりするだけの存在であり、チャート上に表示しても表示しなくても同じ模様である。むしろ表示するだけ邪魔だろう。
ポンド/ドルの日足チャートを見ながら、解説していこう。5月6日、1.6996の高値をつけた。3月24日からは、一期一節に1日だけ足りない32日。E1.7084が実現しないまま下降していく。ここで登場するのが抵抗帯、俗に言う「雲」なのである。

抵抗帯は抜けるときには抜けるが、このときは下に突き抜けなかった。何故だろうか? 一期一節を経て下降を余儀なくされたものの、E1.7084へと上昇するエネルギーが、まだ残されていたためである。また赤い矢印で示してある通り、ここで遅行スパンが基準線に跳ね返されていることにも注目しておきたい。
5月6日からちょうど一期一節、33日を数える6月19日に1.7062の高値をつける。この大きなV波動33日は、3月24日から5月6日までの大きなI波動32日に呼応している。ただ、このときも計算値が実現していなかったため、少しだけ押してから再び上昇。6月30日になって、ようやくE1.7084が実現する。
3月24日から数えて75日、一巡に1日だけ足りない7月4日には、1.7179の高値をつける。ここでE1.7179が実現し、上昇エネルギーも使い果たしてしまったため、抵抗帯を難なく突き抜けながら下降していくのである。
「雲」だけ眺めていても無意味なことが、これでおわかりだろうか?