下降トレンドでは、これまでと様相が変わってくる。その「下降トレンドが充分に強い」状態であれば、RSIが30のラインを割る回数は増える。
5月4日以降では、5月6日、12日、23日にラインを割っている。プライマリー・サイクルが終了したのは⑤の5月23日であり、終了予測日の1日前であった。
天井付近で売って、6日に手仕舞う。その後も細かく売りを入れて、12日、23日に手仕舞う。それも一つの戦略である。また、5月4日以降は、一度もRSIが70を超えていないのだから、23日まで売り持ちを継続するのも戦略である。

下降トレンドのサイクル分析には、二重の困難が付きまとう。第一に、RSIが何度も30のラインを割ることから、サイクル終了の確認がしづらくなる。第二に、下降トレンドにおいて重要となるのは天井の日付だが、これを予測していない。
いずれもメリマン・サイクル理論に従い、安値から安値までの期間をサイクルとしたことに起因する。いや、メリマンが悪いというのではない。高値から高値までをサイクルとした場合、今度は上昇トレンドの分析が難しくなるだけの話である。
メリマンに限らず、安値と安値をつなぐのは、世界中のサイクル・アナリストにほぼ共通している。高値と高値をつなぐ方法は、信頼性と安定性に欠けるというのが理由らしい。株や商品ならともかく、こと為替においては疑わしい理由である。
たとえば「ドル/スイスフラン」のレート表示を、全世界一斉に「スイスフラン/ドル」に切り替えたとする。途端にスイスフランの安値が拾いやすくなった……といったようなことは、まず起こりそうにもないではないか。
ドルを買うことは、スイスフランを売ることである。ドルの安値と安値をつなぐことは、スイスフランの高値と高値をつなぐことに他ならない。為替において、どちらか一方だけが信頼性と安定性に欠けるとは考えにくい。
だが、高値から高値までをサイクルとする方法に、格段のメリットがあるとも思えない。結局、一般的な方法に従いつつ、下降トレンドの分析の難しさに頭を悩ませるほかはない。次回は、その難しさの中でのRSIの使い方を考える。
おそらく、使い方のヴァリエーションもご紹介できるのではないかと思う。