第二に、今後は45度ラインの呼称を1×1ラインとしておく。あるいは、単に1×1である。 必ずしもチャート上に45度で引けるとは限らず、むしろ引けることはまれであるのだから、45度ラインとは呼びにくい。 あとで厄介な事情も出てくるので、とりあえずここではギャン・ラインと呼ぶのも避けておきたい。
この1×1ラインにおいて、価格と時間とは均衡する。言い換えれば強力な支持線、抵抗線として機能する。通常のトレンドラインとの違いは、2つの高値、2つの安値を結んではいない点にある。といって、高値と安値を結んで引いたものでもない。
どうやって引けばいいのかを、まずは日足で説明しよう。
100日につき、いくらが1×1なのかをあらかじめ決めておく。あるいは同じことだが、1日につき、いくらが1×1なのかを決める。そうすれば価格の表示幅が変化しても、1×1は一定である。ドル/円の場合なら私は1日10pips、10銭としている。
そう、価格表は存在しない。また、どの通貨ペアでも1日10pipsになるわけではない。私なら私、あなたならあなたが1日当たりの価格を設定するのである。ただし、むやみに最適化するのではなく、10、15、20……といった、きりのいい数字に設定する。
最適化であれば、例えば1×1を1から0.895にするといったことが当然考えられる。……1×1にあまりに半端な数字を使うのも避けた方がよかろう。チャートに書き難い。ギャン自身、ある程度割り切って、きりのよい数字を使っていたと思われる。 (林康史 編著『ギャンの相場理論』日本経済新聞社)
1×1が1日10銭であったとすれば、100日10円である。このとき価格と時間をそれぞれ半分にして新たなラインを引き、価格1に対して時間2、100日5円のラインを1×2とする。価格2に対して時間1、50日10円のラインを2×1とする。
1×2ライン、2×1ラインは、1×1に次いで重要な支持線、抵抗線となる。
同様にして、1×3と3×1、1×4と4×1、1×8と8×1を設定していく。通常ギャン・ファンが搭載されているチャートでは、以上の9本が表示される。過去の高値、安値を起点として9本を扇状に引き、将来の支持線、抵抗線を判断するのが使い方である。
ただ上に引用した書の中で林康史は、「同時に9本引くのはナンセンスである」とも述べている。本来的には1×1、1×2、2×1を引くだけでほぼ用は足りる。 1×3、3×1はなかでも重要度が低く、たまに週足や月足で参考にする程度でいい。