
なんだ、1×1ラインが支持線、抵抗線になるのではなく、自分で調整して支持線、抵抗線にするのではないか。そうおっしゃる向きもあろう。その通り。しかし、それは通常のトレンドラインを引く場合でも同じである。
1が駄目なら、0.895ではなく0.5。10が駄目なら、13.5ではなく15。日足、週足、月足の相関を見ながら、きりのいい数字を自分で設定するのである。 ただ、12.5というのはあり得る。4倍すれば50、8倍すれば100というきりのいい数字になる。
実際にやってみると、ぴったりはまる数字があったりするから面白い。
では、なぜ1×1ラインは「45度」なのか。ギャンの時代、NYダウの1×1は1週間1ドル、大豆は1週間1セントと設定すれば事足りたのだという。 チャートの目盛りを1ドル/1週、1セント/1週にとれば、そこに引かれる1×1ラインは45度になる。
そのギャン自身も、1929年の大恐慌のあとで、ある商品の1×1を1セントから1/2セントに変更している(林康史 編著『ギャンの相場理論』日本経済新聞社参照)。ギャン・ファンを使う以上、われわれも彼にならって、きりのいい数字を探さなければならない。

メニューバー「挿入(I)」よりギャン・ファンを選択。チャート上の、たとえば2015年8月24日安値の箇所でクリックすると、ギャン・ファンが表示される。
妙にひしゃげている。このままでは使い物にならないので、パラメーターを編集する。上段の「時間」は起点とする8月24日。「価格」は、この日の安値である116.16。これは問題ない。下段の「時間」には終点となる日付を入れるようである。
ただ不思議なことに、起点となる8月24日から、ある程度離れている日付であれば、何月何日を入れても寸分変わらないギャン・ファンが表示されるのである。もっとも1日10銭を1×1とするなら、100日で10円、200日で20円となり、この比例関係は変わらない。そもそも理論上、「終点となる日付」など不要ではあるのだが。

「スケール」が1×1の角度を決める。チャートの価格が0.1pips単位で表示されているためか、1日10pipsと設定するには100.00を入れる。15pipsなら150.00、20pipsなら200.00である。高値から下向きに引く場合は、-100.00のような負数を入れる。
そうやってギャン・ファンを引いたのが、記事上のドル/円日足チャートである。 1×1付近に5箇所だけ矢印を置いてあるが、ほかにも数箇所で支持線、抵抗線として機能しているように思う。さあ、無事に引けた引けた。安心、安心。
しかし、これでは駄目なのである !!