2015/11/14
Posted on 11/14/2015 by Ryoun Kasai in 書籍案内
SFにはSFファンがいて、ミステリーにはミステリーファンがいる。そういった意味では、私は経済小説ファンではない。
しかし、ブログのテーマに合わせて、私が読んで面白かった作品の中から経済小説と呼べるもの10作を選んでみた。
どちらかといえば、出版年の古いものが多い。どうも今世紀に入ってから書かれた小説には、小説としての詰めに甘さがあるような気がする(私の偏見であることを願う)。抜群に面白いにもかかわらず、古いというだけであまり読まれていない。そんなリストになっているのではないかと思う。
ジャンルがどうであれ、出版年がどうであれ、要は面白いものが面白いのである。だったら新しい小説にも面白いのがありますって? そうかもしれない。ごめんなさい。
百万ドルをとり返せ!(新潮文庫)
ジェフリー・アーチャー
数学者たちが騙し取られた100万ドルの奪還をたくらむ。大河小説で知られるアーチャーだが、この作品は軽く読める。もちろん、薄っぺらという意味ではない。第一級のエンターテインメントである。
金融小説名篇集(藤原書店)
オノレ・ド・バルザック
売れっ子作家であったにもかかわらず、ファッションに旅行に、女優との交際にと、放蕩三昧のおかげで借金に苦しむ。バルザック自身がそんな人物だったのだから、お金に関する小説が面白くないはずがない。
新版 日本永代蔵(角川ソフィア文庫)
井原西鶴
西にバルザックあれば、東に西鶴ありといった感じの短編集。しかも西鶴の方が、100年も早くこの世に生まれている。この世界最初の経済小説、騙されたと思って読もう。角川ソフィア文庫版は現代語訳付き。
赤いダイヤ(集英社文庫)
梶山季之
借金地獄から自殺をくわだてた主人公が、稀代の相場師 “森玄” に出会って救われる。次第に小豆相場の魔力から逃れられくなっていく。傑作だが、絶版のようである。ちくま文庫で復刊してもらえないだろうか。
経済小説名作選(ちくま文庫)
日本ペンクラブ・編
このリストでは、あまりビジネス小説を挙げていない。乱暴なようだが、これ一冊で代表させる。もとは1980年に集英社文庫から出ていたもの。 せっかく去年、ちくま文庫が復刊してくれたんだから読んでおこう。
大君の通貨 ― 幕末「円ドル」戦争(文春文庫)
佐藤雅美
このリストの中では、比較的新しい作品。それでも、1987年に出たものの復刊である。若干、詰めの甘さを感じないわけでもないが、通貨制度をテーマに据えたところが面白い。読んで損はない意欲作。
百戦百勝 ― 働き一両・考え五両(角川文庫)
城山三郎
経済小説の中の小ジャンルとして、ビジネス小説がある。私はあまり読まない。銀行員でもない私が銀行小説を読んで楽しいのか、などと思う。証券会社の人間でもないのだが、しかし、これは抜群に楽しかった。
男子の本懐(新潮文庫)
城山三郎
司馬遼太郎で歴史を学ぶのもどうかと思うが、城山三郎で経済を学ぶのもどうかと思う。だが、面白いものは面白い。金解禁を断行した浜口雄幸、井上準之助の二人を追いつつ、男子の本懐とは何かを問う代表作。
大番(小学館文庫)
獅子文六
古い作家だが、最近、ちくま文庫によって発掘されている。やはり面白いのである。『大番』は繰り返し映像化もされた代表作。これを超えるエンターテインメント小説は、もう出てこないんじゃないかとさえ思う。
金(藤原書店)
エミール・ゾラ
あえて『居酒屋』『ナナ』といった定番を外し、ゾラ・セレクションを組んだ藤原書店もなかなか意欲的だ。その第7巻が『金』。ゴールドではなく、カネである。150年前のバブル崩壊を自然主義の筆致で描いている。
しかし、ブログのテーマに合わせて、私が読んで面白かった作品の中から経済小説と呼べるもの10作を選んでみた。
どちらかといえば、出版年の古いものが多い。どうも今世紀に入ってから書かれた小説には、小説としての詰めに甘さがあるような気がする(私の偏見であることを願う)。抜群に面白いにもかかわらず、古いというだけであまり読まれていない。そんなリストになっているのではないかと思う。
ジャンルがどうであれ、出版年がどうであれ、要は面白いものが面白いのである。だったら新しい小説にも面白いのがありますって? そうかもしれない。ごめんなさい。
百万ドルをとり返せ!(新潮文庫)
ジェフリー・アーチャー
数学者たちが騙し取られた100万ドルの奪還をたくらむ。大河小説で知られるアーチャーだが、この作品は軽く読める。もちろん、薄っぺらという意味ではない。第一級のエンターテインメントである。
金融小説名篇集(藤原書店)
オノレ・ド・バルザック
売れっ子作家であったにもかかわらず、ファッションに旅行に、女優との交際にと、放蕩三昧のおかげで借金に苦しむ。バルザック自身がそんな人物だったのだから、お金に関する小説が面白くないはずがない。
新版 日本永代蔵(角川ソフィア文庫)
井原西鶴
西にバルザックあれば、東に西鶴ありといった感じの短編集。しかも西鶴の方が、100年も早くこの世に生まれている。この世界最初の経済小説、騙されたと思って読もう。角川ソフィア文庫版は現代語訳付き。
赤いダイヤ(集英社文庫)
梶山季之
借金地獄から自殺をくわだてた主人公が、稀代の相場師 “森玄” に出会って救われる。次第に小豆相場の魔力から逃れられくなっていく。傑作だが、絶版のようである。ちくま文庫で復刊してもらえないだろうか。
経済小説名作選(ちくま文庫)
日本ペンクラブ・編
このリストでは、あまりビジネス小説を挙げていない。乱暴なようだが、これ一冊で代表させる。もとは1980年に集英社文庫から出ていたもの。 せっかく去年、ちくま文庫が復刊してくれたんだから読んでおこう。
大君の通貨 ― 幕末「円ドル」戦争(文春文庫)
佐藤雅美
このリストの中では、比較的新しい作品。それでも、1987年に出たものの復刊である。若干、詰めの甘さを感じないわけでもないが、通貨制度をテーマに据えたところが面白い。読んで損はない意欲作。
百戦百勝 ― 働き一両・考え五両(角川文庫)
城山三郎
経済小説の中の小ジャンルとして、ビジネス小説がある。私はあまり読まない。銀行員でもない私が銀行小説を読んで楽しいのか、などと思う。証券会社の人間でもないのだが、しかし、これは抜群に楽しかった。
男子の本懐(新潮文庫)
城山三郎
司馬遼太郎で歴史を学ぶのもどうかと思うが、城山三郎で経済を学ぶのもどうかと思う。だが、面白いものは面白い。金解禁を断行した浜口雄幸、井上準之助の二人を追いつつ、男子の本懐とは何かを問う代表作。
大番(小学館文庫)
獅子文六
古い作家だが、最近、ちくま文庫によって発掘されている。やはり面白いのである。『大番』は繰り返し映像化もされた代表作。これを超えるエンターテインメント小説は、もう出てこないんじゃないかとさえ思う。
金(藤原書店)
エミール・ゾラ
あえて『居酒屋』『ナナ』といった定番を外し、ゾラ・セレクションを組んだ藤原書店もなかなか意欲的だ。その第7巻が『金』。ゴールドではなく、カネである。150年前のバブル崩壊を自然主義の筆致で描いている。
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