2016/02/13
スピノザはレンズ磨きで生計を立てていたともいわれるが、実情はよくわからない。一説によれば友人の貴族から年金を受け取っており、レンズ磨きは研究のためであったとされる。
他の説によれば、援助を受けるのは彼の信条に反し、やはりレンズ磨きで生計を立てたのだとされている。
はっきりしているのは、金銭に関しては極めて無欲であったことである。
1654年、富裕な貿易商であった父親が亡くなる。スピノザの姉は遺産を独り占めしようと画策するが、これに対して彼は訴訟を起こす。スピノザは勝訴したにもかかわらず、結局は姉に遺産の全額を譲ってしまう。無欲なのである。
スピノザができる限り、援助を受けずにいたのは、思想の自由を守るためであったらしい。その点、フランスの啓蒙思想家ヴォルテールと共通している。
しかし、その自由を守るための経済的活動は、スピノザとは対照的なものであった。ヴォルテールこそ、まさしく「利殖に長けた哲学者」なのである。
1726年、31歳のとき、ヴォルテールは商業の国イギリスへ渡航する。このとき、ロンドンの株式取引所に並々ならぬ興味をもったようである。のちに出版された『哲学書簡』の中では、次のように描写されている。
帰国後は銀行への投資、時計と絹靴下の製造販売をしたほか、王侯貴族へ多額の融資もするなどして莫大な利益を上げている。浪費家のヴュルテンベルク公カール・オイゲンへは60万リーヴル、現代の日本円で2~3億円ほど貸し付けていたが、利子さえまともに払ってくれなかったため、25年に渡って催促状を送り続けたという。
1750年、自ら啓蒙君主をもって任じていたフリードリヒ2世が、ヴォルテールをプロシアへ招く。しかし、派手な儲けっぷりに俗臭を嗅ぎとったのか、次第に彼を疎んじるようになり、3年後には追放してしまう。このときのフリードリヒ2世、「オレンジの汁を搾ったら、皮は捨てるものだ」と言い放ったことが伝わっている。
哲学者が利殖に長けているのも、あまり好かれないようである。
他の説によれば、援助を受けるのは彼の信条に反し、やはりレンズ磨きで生計を立てたのだとされている。
はっきりしているのは、金銭に関しては極めて無欲であったことである。
1654年、富裕な貿易商であった父親が亡くなる。スピノザの姉は遺産を独り占めしようと画策するが、これに対して彼は訴訟を起こす。スピノザは勝訴したにもかかわらず、結局は姉に遺産の全額を譲ってしまう。無欲なのである。
スピノザができる限り、援助を受けずにいたのは、思想の自由を守るためであったらしい。その点、フランスの啓蒙思想家ヴォルテールと共通している。
しかし、その自由を守るための経済的活動は、スピノザとは対照的なものであった。ヴォルテールこそ、まさしく「利殖に長けた哲学者」なのである。
1726年、31歳のとき、ヴォルテールは商業の国イギリスへ渡航する。このとき、ロンドンの株式取引所に並々ならぬ興味をもったようである。のちに出版された『哲学書簡』の中では、次のように描写されている。
ここは多くの高等法院以上に尊敬に値する場所である。そこには人類の利益のためにあらゆる国の代表者たちが集まっているのを見るであろう。取引所ではユダヤ教徒、マホメット教徒、キリスト教徒が、同一宗教に属する人間であるかのように、互いに取引きを行い、異教徒という名前は破産なんかする連中にしか与えられない。 (ヴォルテール『哲学書簡』中公クラシックス)
帰国後は銀行への投資、時計と絹靴下の製造販売をしたほか、王侯貴族へ多額の融資もするなどして莫大な利益を上げている。浪費家のヴュルテンベルク公カール・オイゲンへは60万リーヴル、現代の日本円で2~3億円ほど貸し付けていたが、利子さえまともに払ってくれなかったため、25年に渡って催促状を送り続けたという。
1750年、自ら啓蒙君主をもって任じていたフリードリヒ2世が、ヴォルテールをプロシアへ招く。しかし、派手な儲けっぷりに俗臭を嗅ぎとったのか、次第に彼を疎んじるようになり、3年後には追放してしまう。このときのフリードリヒ2世、「オレンジの汁を搾ったら、皮は捨てるものだ」と言い放ったことが伝わっている。
哲学者が利殖に長けているのも、あまり好かれないようである。
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