2018/10/14
「MT4におけるギャン・ファンの引き方」の#5と#6は応用編である。
ラジオNIKKEI第1の『トレードパーティ♪』7月11日放送分では、山中康司氏がギャン・ファンの解説をしている。動画があるので、まずご覧いただきたい。
相場においては価格だけではなく、時間も重要であること。またチャートの縦軸、横軸の表示幅を変えてしまえば、45度という角度が意味をもたなくなること。これを山中氏は解説しているのだが、まったく正しいとしか言いようがない。
しかし、そこから先がいけない。山中氏は2018年3月の安値と5月高値を結んで、1×1としてしまうのである。こうした引き方が間違いであることは、既に述べた通りだが……実際にどのようなになるのか、上の日足チャートで見ておくことにしよう。
3月安値、5月高値だけではなく、放送日の7月11日も矢印で示してある。放送日の2週間ほど前、6月26日に山中氏はブログを更新している。動画のチャートが6月26日で終わっているのに対し、上のチャートは9月25日まで続いていることを付け加えておく。
ご覧の通り、ギャン・ファンはほとんど機能していない。かろうじて赤い矢印、8月29日高値に対して1×2が抵抗線になっている(ように見える)だけである。
山中氏は1×2を「(時間に対して)価格の進み方が遅い線」とし、2×1を「価格の進み方が速い線」としている。これも説明としては正しい。しかし何故、3月安値から5月高値までの「進み方」が基準となるのか? それが、まったく説明されていない。
任意の安値/高値を結んだ線は、別の安値/高値を結んだ線とは当然、異なる進み方を示すはずである。そのときどきによって変わるものは、基準とはなり得ない。任意の安値/高値を結んだ線とは別のところに、基準は求められなければならない。
実際、3月安値、5月高値を結んだ線が基準として機能していないからこそ、ギャン・ファンがギャン・ファンとして機能していないのである。
次回#6では、正しくギャン・ファンを引いたうえで解説をおこなう。
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