FOREX CHART ANALYSIS BY USING FOURIER TRANSFORM

2016/03/25

Posted on 3/25/2016 by Ryoun Kasai in , ,
正言は反の若し。また、「人の行く裏に道あり、花の山」ともいう。トレーダーたる者、万事を怪しみ、誰もが推奨する指標こそ真っ先に疑うべきである。

たとえば、移動平均は役に立つのか #1 には、11日・20日の移動平均の組み合わせが例示してある。 売買を続ければ、破産は避けられない指標である。

なるほど、必ず10日上げて10日下げる相場が存在するはずはない。 とはいえ偶然、移動平均を最悪の組み合わせで使っている可能性も否定できない。悪魔の指標を信仰しているかもしれない自分自身へ、まず警戒の目を向けておこう。

幸いにもメリル・リンチ社が単純移動平均の有効性ばかりか、利益の上がる平均期間まで明らかにしてくれた。過去のデータを吟味して最適化を施せば、悪魔の組み合わせからも逃れられる。われわれの疑いを払拭するに足る調査である。

しかし、世界で一流といわれるトレーダーは、流石にわれわれの上を行く。

メリル・リンチ社の使ったデータは、1970~76年にわたるものであった。ラリー・ウィリアムズ(写真)はこの調査結果に基づき、1976~80年の取引によって再検証したのである(ラリー・ウィリアムズ『相場で儲ける法』日本経済新聞社参照)。単純移動平均を使った再検証の結果を以下に示す。

累積純損益トレード回数勝ちトレード数
$ -30,7009826
大豆-3,775182
ポークベリー  -48,89817436
生牛-6,700283
私の見た資料に「生牛」の項目はなかったが、最適期間は40日とされていたようである。他は 移動平均は役に立つのか #3 の表と比較していただきたい。

さて、メリル・リンチ社が2本の移動平均を組み合わせる方法も調査していたことは、既に述べた。 上の表は、その結果の一部。下の表はラリー・ウィリアムズが同じ組み合わせを使い、1979~85年のデータによって再検証した結果である。

最適期間 累積純損益トレード回数勝ちトレード数
 3日・26日 $ 10,790661262
大豆16日・50日 286,440311148
ポークベリー  25日・46日 13,124226100
生牛 7日・13日 147,540792337
累積純損益トレード回数勝ちトレード数
$ -7,80017388
大豆-2,36011943
ポークベリー  -7607842
生牛-2301811
惨憺たる再検証結果を、どう受け止めるべきか。少なくとも指摘できる点は、過去のデータによって最適化を施しても、悪魔の指標を選んでしまう可能性が残されていることである。ラリー・ウィリアムズ自身は、こう結論づけている。

何しろ移動平均については極めてよく言及されており、相場の初心者の多くがこのアプローチに取り憑かれることは問題だと思う。 (中略) 過去20年以上にわたって、私はさまざまな数値、システム、アプローチを見てきた。しかし、移動平均を用いたアプローチで一貫して利益をあげている人には出会ったことがない。(ラリー・ウィリアムズ、同上書)

例の悪魔の組み合わせは、実は最強の組み合わせでもある。11日移動平均線が20日移動平均線を上抜いたとき、売りに入り、下抜いたとき、買いに入ればいい。 百発百中で損をする指標こそ聖杯なのだが、残念ながら移動平均は聖杯ではない。

下駄の裏表で売買を占うのと同じで、儲けもすれば損もする。

誰もが取り憑かれる指標であれば、おそらく誰もが、大きく利益を上げた経験をもつに違いない。往々にして人は利益の記憶だけを残し、損失の記憶を消し去って、下駄でさえも有効な指標に仕立て上げたりする。信仰とは、そういうものである。