2016/03/05
ギャン理論を構成するものの一つにリトレースメント retracement がある。フィボナッチ・リトレースメントと同じで、押しや戻りの水準を判断するための指標である。
ギャンがもっとも重視したのが1/2で、半値押し、半値戻しにあたる。フィボナッチ・リトレースメントでも使う比率である。次いで重視したのが1/4、3/4、3/8、5/8である。1/3、2/3、1/8、7/8も使っているが、さほど重要視していない。
3/8=0.375 となって、フィボナッチ・リトレースメントで使う比率38.2%に近い。また 5/8=0.625 となり、これも61.8%に近い。まあ、近い比率になるのも当然といえば当然で、3、5、8 はフィボナッチ数列である。
ギャンには数学オタクのようなところがあるが、高等教育は受けておらず、フィボナッチ比を知らなかったのかもしれない。あるいは、知りつつ興味がなかったのかもしれない。いずれにしても、近い水準に重要性を見出したことは間違いない。
MT4に「ギャン・リトレースメント」は搭載されていないが、実は簡単に使える。「フィボナッチ・リトレースメント」に25%、75%を追加すればいい。37.5%、62.5%を追加することもできる。ただ私見では、よほどギャンのオリジナル手法にこだわりたい向き以外、元の38.2%、61.8%のまま使った方がいい。
では、実際に日足チャート上でドル/円の動きを追いつつ、このリトレースメントを使って分析しよう。ここではギャン・アングルも併用する。
①2013年6月13日に93.78の安値をつけたのち、反発上昇する。②7月8日には101.53の高値をつける。③7月11日、①②上昇幅の38.2%ラインを割り込んでから、再び反発。その後は、③の安値から引いた2×1に沿って上昇している。
④7月19日、②の高値から引いた1×1を少し上抜いて反転する。その前後で100.60付近が抵抗線になっている。煩雑になるためチャートには書き入れていないが、これは①②上昇幅の1/8であり、②③下降幅の61.8%でもある。
Search
Popular Posts
-
以下では2013年にさかのぼり、フーリエ変換に一目均衡表、ギャン・アングルを用いながらドル/円の分析をおこなう。いわば、 フーリエ変換による分析の概要 の応用編である。現在のドル/円の分析については、 メールマガジン をご参照いただきたい。 一目均衡表を少しでも聞きかじっ...
-
伝説のトレーダーW. D. ギャンの分析手法の中でも、もっともよく知られているのはギャン・アングルであろう。 チャート上に45度の角度、つまりアングルで引かれたライン。価格と時間とが1対1で均衡したものとして、これを最重要の角度とギャンは考えた。この45度ラインをギャン・ライ
-
以下にご案内するのは、いまさら記事にするのも気が引ける定番である。ただ最近、ギャン理論などについてネットで調べてみて、自分にとっての常識が常識として通用していないような気もしてきた。もはや定番も定番ではないかもしれない。無論、読んだことのない初心者の方もいらっ
-
SFにはSFファンがいて、ミステリーにはミステリーファンがいる。そういった意味では、私は経済小説ファンではない。 しかし、ブログのテーマに合わせて、私が読んで面白かった作品の中から経済小説と呼べるもの10作を選んでみた。 どちらかといえば、出版年の古いものが多い。どう
-
一目均衡表を日足で使うにしても、最近では次のような主張がある。 均衡表の考案された昭和初期には、週6日の相場取引があった。つまり基本数値9は1.5週を、26は1ヶ月を表すのであり、完全週休2日となっている現在では、基本数値を7と21に修正しなければならない、云々。実際、海外製...